プログラマーに転職すべきか?20代で転職してわかったこと

「プログラマーになりたい!」

そう思っている人に伝えたいことがある。

プログラマーなんてやめておけ。
夢見る人は多いけど、現実は酷い世界だから。

確かに良い面もあった。
けど総じて悪い面のほうが多い。

今回は、そのあたりのプログラマー事情を書いてみる。
プログラマーに転職したい人に読んでもらえれば。
特に20代、30代の若い世代に。

プログラミングができなくなる

俺は物作りがしたくてプログラマーに転職した。
子供のころから工作が好きだったし、エンジニアに憧れていたし、中学生のころからパソコン三昧だった。
プログラマーという職種は、子供のころからの憧れでもあった。

転職して1年目、2年目は楽しかった。
残業は多かったが、プログラミングに没頭できたし、何よりも仕事自体が好きだと思えた。
自分に向いている仕事だと思った。

でも3年目あたりで設計に回されてから狂った。
設計の仕事は、お客さんから要望を聞き、設計書を書き、それをプログラマーに伝えること。
ヒアリング、電話、プレゼン、プログラマーの管理。
プログラミンは週に1日~2日ほど。

さらに4年目からは、設計にプラスして、営業までやらされることになった。
東京、大阪、名古屋。
色んなところに出張に行かされた。

プログラミンは完全にできなくなった。

設計の仕事自体は、まだそれなりに楽しかった。
でも人のマネジメントだったり、お客さんからのクレーム対応、外部の協力会社(元請け、下請け)との連絡や調整は、苦痛でしかなかった。

プログラマーは評価されない

俺は一流のプログラマーになりたかった。

理由は単純にカッコいいから。
パソコンに向かってバリバリとコードを書く姿は、想像しただけでもカッコいい。

プログラマーは、そんな高度な専門職だと思っていた。
どんなに知識や経験を身に着けても次から次へと新しい技術が出てくるし、どんなに頑張ってもそれ以上にすごい人達が沢山いるし、これができればプロだという天井もない世界でもある。

「プログラマーは人によって生産性が10倍、20倍にもなる」
よく話題になるテーマだが、これは確かにその通りだと思った。
そのくらい専門性の高い職業だと思う。

けどプログラマーの評価は低い。

プログラミングに慣れたら、設計、プロジェクト管理者、営業などに「ステップアップ」しなければいけない。
そう、プログラマーは最下層の職業なのだ。

もちろんプログラマーを高く評価する会社もある。
googleやfacebookなどの外資系は、プログラマーを優遇しているし、社内的な地位も高いと聞く。

でも日本の企業の大半は「プログラマー軽視」の「管理者重視」である。

30代、40代になってもプログラマーなのは落ちこぼれなのである。
50代のプログラマーは、何かしらの欠陥があるとまで言われるくらい。

プログラミングを一生の仕事にしたいけど、それは許されない。

俺は、
「プログラマーとしてやっていきたい」
と会社に願い出たことがある。

で、色々とすったもんだの末に、プログラマーに戻してもらえた。

でもその年の社内評価は、最低の「Eランク」だった。

プログラマーは給料が低い

プログラマーの給料は高いと思っていた。
高度な専門職だし、人手不足だし、その能力によっては会社の売り上げを大きく伸ばせると思っていたからだ。

でもそれは間違いだった。

プログラマーの給料は低い。
設計をやらないプログラマーなら月収20万円~25万円。
どんなに頑張っても30万円がいいところだろう。
もちろんプログラマーを優遇してくれる会社なら、給料がドンドン上がるのだろうけど、日本でそんな会社を見つけるのは宝くじに当たるようなものだと思ったほうがいい。

プログラマーなんてただの「人月」要因。
スキルよりも「人数」が重視される。
だからどんなにスキルを身に着けても「1人」以上にはなれない。

対する管理者は、スキル次第で大勢の人間を管理できる。
営業は、話術次第で大きなプロジェクトを受注できる。

でもプログラマーは「1人」でしかない。

例えば上場している大手IT企業は、1年目の新人にプログラミングを「一応」経験させて、2年目以降は設計やプロジェクトマネージャーとして育てている。
上場企業の給料でプログラマーをやらせるのは「割に合わない」からだ。

プログラミングなんてものは、下請けのさらに下の、孫請け、ひ孫請けに投げられる。
プログラマーとして一生やっていくなら、そういった下層の零細企業がいいのかもしれない。

だがそういった会社は間違いなく安月給である。

もし結婚して子供ができても、大学に行かせるのは不可能だ。
奨学金を借りれば行けるかもしれないが、子供に借金を背負わせるようなことだけはしたくない。

ちなみに俺が「Eランク」だった時のボーナスは、3万円だった(同期の管理者は100万円近く)

これがプログラマーの現実。

プログラマーはたらい回しにされる

俺は安定を求めていた。
人付き合いが苦手だったし、環境が変化するのは嫌いだったからだ。
一つの会社にドッシリと腰を据えて、仕事がしたかった。

でもプログラマーはたらい回しがデフォルトだ。
そう、プログラマーは外部に派遣される。
偽装派遣とかよくいわれるアレ。

違法なんだろうけど、IT業界じゃ息をするように当たり前のように行われている。

半年や1年間隔でいろんな会社に派遣される。
運が悪ければ1か月ごとに点々と新しい職場なんてこともある。

もちろん新しい職場では一番下っ端。
人間関係も新しく作らなければいけない。

これが本当に大変。
だから多くのプログラマーは、感情を無くして能面みたいな顔になる。
愛想が悪くて、ぶっきらぼうで、根暗なんて言われる。

でもプログラマー自身は悪くない。
不愛想が自分の身を守る手段なんだと思う。
毎回毎回、人間関係を作るのは非常に難儀。じゃあ最初から作らなければいい。それが不愛想という手段になるだけ。

しかもIT業界の派遣は、多重派遣。
間に3社、4社と入るため、自分がどの組織に属しているのかよく分からなくなる。

例えば派遣の面接に行くとしよう。
自社の営業に連れられて、顧客のところに行く。
でもそれは本当の顧客じゃない。
末端の下請けだ。
そこから次の下請けを紹介され、さらに次の下請けを紹介され、さらに次を紹介され、ようやく直請けの業者に来たと思ったら、ビルの外でさらに別会社の営業が待っている。しかも名刺を渡されてよく見てみると、初めて聞いた社名に俺の名前が書かれていて「あなたは××会社に所属していることになっている」と言われる。

これが結構辛い。
自分が何の力もない、ただの商品だと思い知らされるから。

もちろんプログラマー派遣をしていない会社もある。
自社製品を持っているような会社だ。

でもそんな会社は数が少ないし、もし運よくそういった会社に転職できても「修行に行ってこい」なんて言われて、結局派遣に出されたりする。
派遣の方が手堅く儲かるから。

プログラマーはたらい回しにされる。
安定どころか、毎月、毎年職場が変わる不安定な職業。

こんなのが一生続くと思うと気が狂う。

ここまでのまとめ

正直、プログラマーはオススメできない。
プログラマーなんてやめておけ。

・・・

でも俺は今でもプログラマーとして働いている。
そういった意味で言えば、プログラマーにも良い面がある。

そこを伝えないのはフェアじゃない。

だからここからは「プログラマーになって良かったこと」を書いてみる。

強力なビジネススキルが身につく

プログラマーで身につくスキルといえば、プログラミング能力だろう。
これはプログラミングが好きならグングン伸びる。

でも身につくのは、それだけじゃない。
ビジネスの根幹となる重要なスキルも身につく。
それが以下の3つだ。

・論理力
・シンプルに保つ力
・仕組みを作る力

まず論理力は言わずもがな。
プログラミングは論理の世界である。
何でもロジカルに考える癖が身につく。

この論理力は、ビジネス上で非常に重要なスキルになってくれる。
例えば、企画、分析、問題定義、計画、改善。
これらビジネスの重要な業務は、全て論理的な思考がベースとなっている。

次にシンプルに保つ力。
プログラミングコードは、シンプルを保つために関数、クラス、オブジェクト指向、デザインパターン、リファクタリングなど色んな技術がある。
これらの技術はコードをシンプルに保つためにある。
コードはシンプルなほど美しく、技術力が必要である。

このシンプルさは、ビジネスの世界でも重要である。
何にフォーカスし、何を切り捨てるか、常に取捨選択し、シンプルに保たなければいけない。
製品、デザイン、マーケティング、システム、ビジネスモデル、人間関係。
全てにおいてシンプルさが武器になる。

プログラマーを長く続けると、そういったシンプルに考える思考が自然と身につく。

最後に仕組みを作る力。
プログラマーの仕事は「自動化」である。
人の手でやっていた仕事を、プログラムで自動化するのだ。
プログラマーはこの自動化、つまり仕組みを作る力が身につく。

仕組みを作るというは、何もパソコン上に限った話じゃない。
例えばフランチャイズ店の業務標準化だったり、スーパーの業務改善だったり、職人業の単純化(流れ作業)だったり、物流センターの無人化だったり。

世の中は仕組みで動いている。
プログラマーをやっていると、こういった「仕組みを作る能力」が非常に高くなる。

・・・

プログラマーは、プログラミング能力が身に付くだけじゃない。
プログラマーは、ビジネスで生き抜くための強力な武器も与えてくれた。

転職先に幅が出る

プログラマーの転職先は幅広い。

まず「プログラマーからプログラマーの転職」はかなり楽である。
IT業界は転職が一般的だし、求人も多いし、需要もある。

またプログラマー以外のIT業に転職する人も多い。
WEBコンサルタントだったり、ネットワークエンジニア、サーバエンジニア、WEB広告、ECサイト運営、WEBディレクター、統計アナリスト、SEOディレクターなど、IT業界とは言っても職種は山のようにある。
どの職場で何をやるにしても、プログラミングのスキルは大いに役に立つ。

さらにプログラマーは、IT業界以外でも需要がある。
特に最近は、IT化を目指す会社からの求人も多くなっている。
物流、飲食チェーン店、農業法人、水産、医療、介護、保育など、これまでITと縁のなかった業界でプログラマーが必要とされている。
プログラミング能力は、こういった畑違いの業界で希少価値が高い。
それなりの待遇で迎えられることも多い。

このようにプログラマーは転職先に困らない。
これからの世の中は、ロボットに職を奪われるというけれども、プログラマーはその対極にいるんだと思う。

もちろん40代、50代になると転職は難しくなる。
でもスキルと経験を順当に積んでいけば、自然と色んなところから声がかかる。

プログラマーは1つの会社に縛られず、いくつもの選択肢を持った自由な人生が歩める。

面白い

プログラミングは面白い。

人によって合う合わないはある。

でも俺は面白いと感じている。
もう15年近くこの業界にいるが、プログラミングだけはいまだに飽きない。

何が面白いのかは自分でもよく分からない。

物を作る喜び、バグを突き止める快感、コードをキレイに整理したときの満足感、自動で動き出したときの爽快感、仕事に集中しているときのフロー感覚、色々なことができるようになる万能感、自分が成長している実感。

色んな面白さがある。
たぶん人によって面白さのポイントは違うんだろうけど、俺にとってはこの仕事が合っている。

突き詰めれば上に行ける

先ほどプログラマーは下っ端だと書いた。
社会的な地位は低いと。

これは事実だ。

でも努力次第でもある。
プログラマーとしての能力が認められれば、プログラマー重視の優良企業に転職ができる。
そういった会社では年収が1000万円を超えることも珍しくない。

プログラマーとして起業することもできるだろう。
マイクロソフトのビル・ゲイツ、ホリエモン、任天堂の創業者、楽天の三木谷社長など、成功者には元プログラマーが多い。
プログラマーには、ビジネスで必要なスキルが身につくからだと思う。

最近ではフリーランスとして年収1000万円越えもゴロゴロいる。

共同創業者として誘われる機会も多い。
実際俺は、何度か誘われたことがある。
安定志向の俺はすべてお断りしているが・・。
でもチャレンジ精神がある人は、ぜひそういったチャンスに飛び込んで行ってもらいたい。
数年で億単位の金を手にする話もチラホラ聞く。

コンサルを求めらる機会も多い。
実際に私は今、CTO(技術最高責任者)として2社と顧問契約をしている。
コンサル業は、給料の割が良いためか、そこに行きつくプログラマーも多い。
俺の場合は、給料の良さもさることながら、現役プログラマーとして働ける点に惹かれて顧問契約した。

さて。
プログラマーは下っ端の職業である。
ただしこれは自分の頑張りによって簡単に覆せる。

頑張れば頑張るほど、上を見ることができる職業でもある。
そういった意味で言えば、他の職業よりもやりがいは大きい。

まとめ

正直、プログラマーはオススメできない。
プログラマーなんてやめておけ。

・・・

でも、
もし努力する覚悟があるなら・・・。
その努力を続ける覚悟があるなら・・。

プログラマーも捨てたもんじゃない。

努力次第でどこまでも上に登っていける。

給料、地位、自己成長。そして自分のやりたい仕事。

これらは努力の上にしか築けない。
その覚悟があるならプログラマーもオススメできる。

ただし、自分を高められる会社に入ることが条件だ。
派遣を繰り返すような会社は辞めておけ。

君を商品としてしか見ないから。

そんな会社は成長できない。

プログラマーの成長を重視する会社を選ぼう。
そのためにコネや人脈、転職エージェントを活用して、しっかり情報を集めること。

それができて初めて転職は成功する。

それじゃ!

追記:20代、30代の若いうちに転職しとけ!